• サントラ, 映画ネタ 2009.09.29 コメントは受け付けていません。

     

    ワタクシはジュリア・ロバーツが苦手なので、劇場公開時はスルーしていたのですが、
    ま、DVDレンタルなら見てもいいかな、という事で『デュプリシティ』(09)を鑑賞。

    ジュリア嫌いの自分がなぜ本作を見るに至ったかというと、先日サントラ盤を購入した
    ところ、ジェームズ・ニュートン・ハワード(以下JNH)のスコアがイカす出来だったので、
    本編の方もどんな感じか見てみたくなったわけでございます。

     

    先にサントラの話からさせて頂きますと、まずレコーディング・メンバーが豪華すぎ。
    ギターのセルジオ&オダイル・アサド(通称「アサド兄弟」)、バンドネオンのマルセロ・
    ニシンマン、アップライト・ベースのマイク・ヴァレリオ、エレクトリック・ベースのエイブ・
    ラボリエルSr.、ドラムスのヴィニー・カリウータ、パーカッションのアレックス・アクーニャと
    ルイス・コンテなどなど、腕利きミュージシャンが大集合。オシャレなジャズ/フュージョン・
    サウンドを聴かせてくれてます。とりわけリズム隊が作り出す強力なグルーヴ感が最高。
    映画の冒頭、トイレタリー企業CEOのオッサン2人が取っ組み合いの大ゲンカを始める
    シーンの曲”War”で「この映画の音楽、何か違うぞ」と思わせてくれます。

    アサド兄弟の情熱的で程よい色気を含んだギターとか、哀愁のバンドネオン・ソロも
    ムード満点。元MI6とCIAの男と女が繰り広げる恋愛模様(=腹の探り合い?)を艶やか
    かつミステリアスに彩ります。JNHといえば生真面目かつ控えめな作曲家という印象が
    ありますが、今回は遊び心のある音楽を書いてます。『オーシャンズ』シリーズの
    デヴィッド・ホルムズとか、Gotan Projectあたりの音楽をイメージして頂けると分かり
    易いかと。このテの音楽が好きな方は要チェック。

     

    国内盤はランブリング・レコーズさんから発売中です(ワタクシが購入したのは輸入盤)。

     

    で、映画本編はといいますと、ひとことで言えば「産業スパイもの」って事になるでしょう。
    トイレタリー企業最大手B&R社の「画期的な新製品」の情報を横取りすべく、新興企業
    エクイクロム社が元MI6のレイ(クライヴ・オーウェン)と元CIAのクレア(ロバーツ)を
    スパイとして雇うのだけれども、この二人は過去に愛憎半ばの因縁があって、どうにも
    お互い信用できなくてさぁ大変、ってな感じのお話です。

    監督・脚本は『フィクサー』(07)のトニー・ギルロイ。劇中何度も騙し、騙されながら意外な
    結末にたどり着くタイプの物語なのですが、さすが脚本家出身のギルロイ監督。物語の
    進行はややこしいけれども、話の筋立てはきちんと整理されてます。ま、見ていて混乱
    する事はないでしょう。

     

    一般的にこういう「コン・ムービー」と呼ばれる映画(『スティング』(73)みたいな)は「まん
    まと騙される爽快感・面白さ」がポイントだったりするわけですが、本作のように「オレ
    (アタシ)が一番アタマがいいんだよ」と思っている自信満々の主人公が、最後の最後で
    見事に出し抜かれる様を傍で眺めるというのも、意外と楽しいという事が判明しました。

    『オーシャンズ』シリーズで、何となく集まったメンバーが、何となく作戦を立案して、何と
    なく実行に移してあっさり作戦が成功してしまう光景を見て「なんだかなぁ」と釈然としない
    気持ちになった自分などは、本作の苦いラストが結構ツボなのですがいかがでしょうか。
    現実なんてこんなものさ、みたいな虚無感がたまりません。

     

    キャストではエクイクロムのCEOを演じたポール・ジアマッティが出色。どう見ても大企業の
    CEOの器じゃない小物っぷりを巧く体現してます。特に物語終盤の株主総会のスピーチの
    シーンが最高。「絶対に大物になれない小悪党」のオーラ全開でしゃべりまります(必見)。

     

    余談ですが、ボウリング場の密会のシーンでWang Changの”Dance Hall Days”が
    流れてました。80年代洋楽ファンや「グランド・セフト・オート バイスシティ」のファンには
    おなじみの曲かと思いますが、懐かしいなー。

      

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  • My Works, サントラ, 映画ネタ 2009.09.15 コメントは受け付けていません。

     

    前回のブログで映画本編については大体ご紹介してしまったのですが、補足・・・というか小ネタを一点だけ。実はこの映画、ショーン・ペンが小さな役で出演していたのですが、諸般の事情で出演シーンがまるまるカットされてしまったそうです。はてさて、一体どんなキャラクターを演じたのでしょうかねぇ。ちょっと気になります。

     

    ま、それはさておき、本日は『正義のゆくえ』の物語を彩る音楽について。

     

    本作のオリジナル・スコアはマーク・アイシャムが担当しています。『クラッシュ』(04)、『告発のとき』(07)、『帰らない日々』(07)など、このところ社会派ドラマの仕事が続いておりますが、映画のジャンルはもちろん、音楽的にもクラシック、ジャズ、ロック、アンビエントなどあらゆる様式に柔軟に対応出来る多才な人です。

    個人的に、学生時代に聴いた『ハートブルー』(91)のシンセ・スコアや『蜘蛛女』(94)のエレクトリック・ジャズの音楽に感銘を受けて以来アイシャムさんのファンだったので、今回のライナーノーツは楽しんでお仕事させて頂きました。念願叶って、アイシャムさんにインタビューまで出来ましたし。

     

    実は以前『告発のとき』のライナーノーツを担当する事になった時にも、アイシャムさんにはインタビューを試みたのですが、その時は先方のスケジュールの都合でうまくいきませんでした。しかし誠意ある交渉(単にしつこかっただけかもしれない)の結果、今回は二つ返事でOK。いろいろ話を聞かせてもらいました。いやー、いい人でよかった。大御所なのに全然気取ったところがないのです。

    輸入盤ではなく、あえて国内盤を買って下さる映画/サントラ・ファンのために、ブックレット用インタビューでは「群像劇の曲作りの面白さ」、「『正義のゆくえ』の作曲コンセプト」、「映画の中で特に印象に残った場面」などについてアイシャムさんに熱く語ってもらいました。

    詳しくはランブリング・レコーズさんから9/2にリリースになったサントラ盤をお買い求め頂いて、拙稿に目を通して頂ければと思います。

     

    オリジナル・スコアもかなりクオリティ高いです。『クラッシュ』のようなアンビエント・ミュージック的な味わいを持たせつつ、生ギターやピアノ(アイシャムさんが弾いてます)でじっくり哀愁の調べを聴かせるタイプの音楽、と申しましょうか。電子音と生楽器のバランスが絶妙です。

    決して主張の強いサウンドではないのですが、CDを聴いているうちに、物悲しいメロディーがリスナーの心にじわーっと浸透していくような、そういう音楽です。CD2曲目の”Drive to Mexico”とか、6曲目の”ICE Raid”あたりは切なくて泣けますよ。

    ドラマに必要とされている感情の揺れ動きを的確に描き出し、だからといって過剰におセンチな雰囲気にはしない絶妙なバランス感覚の音楽。社会派群像ドラマの音楽はかくあるべし、という感じのサウンドトラックです。オススメ。

     

    そういえば、アイシャムさんは12日にLAのThe Baked Potatoというライブハウス(?)でライブを演ったそうです。この方は腕利きのジャズ・トランペット奏者ですからねー。いつかこの目でナマ演奏を見て(聴いて)みたいもんです。

    アイシャムさんのトランペットの腕前については、そのうち書かせて頂きます。

     

     
    『正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官』オリジナル・サウンドトラック
    音楽:マーク・アイシャム
    品番:GNCE7056
    定価:2,625円

      

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  • サントラ, 映画ネタ 2009.08.28 コメントは受け付けていません。

     
    先週仕事で忙しくて観に行けなかった『トランスポーター3 アンリミテッド』(08)をようやく鑑賞。

    個人的にこのシリーズは嫌いじゃない(というか、好き)なので、それなりに楽しんで観たのですが、なぁぁんか今回は乗り切れない部分がありました。ま、前作『トランスポーター2』(05)のやりすぎアクション描写が面白すぎたというのもありますが、見せ場でハジケっぷりがちょっと足りなかった印象です。

     

    それでもジェイソン・ステイサムは相変わらず頑張っているし(スーツ姿のままチャリンコでアウディをチェイスするシーンが出色)、カースタントもイカすのに何でかなー、と思ったのですが、やっぱり既にあちこちで書かれているように「ヒロインに魅力がない」という部分が大きいようです・・・。

    何というか、ハスッパなの。聞けば今回のヒロイン・ヴァレンティーナを演じたナターリア・ルダコワは、NYのヘアサロンで美容師として働いていたところをリュック・ベッソンにスカウトされて、演技のレッスンを6ヶ月受けてこの映画のオーディションに参加して役をゲットしたそうな。ま、早い話がベッソンにナンパされたという事ですかね。ホントにベッソンはこういうハスッパ系の女子とかモデルが好きなんだなー、と改めて思いました。

     

    ステイサム演じるところのフランク・マーティンは、己に厳しいルールを課して仕事をこなす、ある意味「ストレート・エッジ」な男なので色恋沙汰もNGなんですが、今回はそのルールを破ってしまいます。だから今回のヒロインは「あの禁欲主義的なフランクですら虜にしてしまう程の美貌の持ち主」でなければいけないと思うのですが、ルダコワさんではちょっとその点で説得力に欠けるかな、と。

    前作で色っぽい人妻(アンバー・ヴァレッタ)の甘ーい誘惑にギリギリのところで耐えたフランクなのに、何故この人で?? ・・・と思ってしまうんだなぁ。1作目のスー・チーも可愛かっただけに、なおさらそう思うのです。そこらへんがちょっと残念な3作目でございました。ま、ベッソンさんも映画を作る時は公私混同も程々にお願いしますぜ、って感じです。

    しかしそのマイナス面を補ってくれるのが、我らがロバート・”ティーバッグ”・ネッパーの怪演でございます。『プリズン・ブレイク』のねちっこい爬虫類的な演技ともひと味違った、洗練された悪役演技を見せてくれます。ネッパーさん、売れっ子になって嬉しい限りです。スーツも似合うし、意外な事に今回はなかなかカッコイイです。日本語吹替えも若本規夫氏で決まりだぜ。

     
    さて本作の音楽はというと、前作に続いてアレクサンドル・アザリアが担当してます。1作目の音楽担当としてクレジットされているのはスタンリー・クラークですが、アザリアもREPLICANT名義で楽曲提供しているので、実質全シリーズの音楽を担当している事になります。例の耳に残るテーマ曲も使われていて、アクション・スコアとしても聴き応えアリ。ハリー・グレッグソン=ウィリアムズとか、ブライアン・タイラーの音楽をフランス風に味付けするとこんな感じになるのかな、というタイプのサウンドです。

     

    サントラ盤はフランスのWagramというレーベルから発売になっていますが、ランブリング・レコーズさんが日本での販売を担当しています。なので、地方都市のCDショップだと入手困難なフランス盤も比較的容易に入手可能です。

    Eveが歌うエンドクレジット曲”Set it on Fire”やHoly Golightlyの”Wherever You Were”、Tricky、Birdy Nam Nam、Benjamin Thevesの楽曲も収録した全17曲。とりあえずアクション・スコア愛好家の方は押さえておきたい一品かと。

     

     

    『トランスポーター3 アンリミテッド』オリジナル・サウンドトラック
    音楽:アレクサンドル・アザリア
    品番:RBCX-7360
    定価:2,625円

     

      

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  • My Works, サントラ, 海外TVシリーズネタ 2009.08.20 コメントは受け付けていません。

     

    シーズン4の製作時期は、例のアメリカ脚本家組合のストライキがあったため、1シーズンの
    話数が14話に短縮されるという事態に陥ったそうなのですが、これがプラスに働く事もあったり
    するので、世の中何があるか分かりません。

     

    「シーズン6でドラマを完結させる」とプロデューサーが決断した事から、どうやら話をムダに
    先延ばしをする必要がなくなったようですな。シーズン3の最終話で登場した「フラッシュ
    フォワード」を積極的に活用し、島を脱出した生存者の「未来の姿」を描き、恐らく今まで
    ネタを温存していたであろう島の秘密も惜しげもなくバンバン露出させ、ドラマ展開が断然
    スピーディーになりました。ゴチャゴチャしていた人間関係も割と整理されてきたし、何となく
    薄れかけていた『LOST』熱が、自分の中で蘇ってきたシーズンでございました。

     

    今回はジアッキノのスコアもかなりイイ感じです。「『LOST』のスコアは音だけ聴いてもあん
    まり面白いタイプの音楽じゃないよねー」という声をよく聞くのですが、いやいやそんな事は
    ありませんって。特に今回はメロディアスな楽曲が比較的多かったため、個人的にはファー
    スト・シーズンに勝るとも劣らない名盤ではないかと思ったぐらいで。

     

    ドラマ系スコアでは、何と言っても第77話「定数」のクライマックスで流れる”The Constant”が
    出色。デズモンドとペニーの一途な愛を美しく彩る名曲です。ちなみにジアッキノはこの曲で
    エミー賞にノミネートされました。

    あと、今回のアルバムでは”Lost Away — Or is It?”や”Nadia on Your Life”など、サイードの
    テーマの哀愁のメロディーが結構目立った使われ方をしています。そういえばシーズン4は
    彼も結構目立った活躍をしていましたねー。

     

    しかし、やはり特筆すべきはシーズン最終話”There’s No Plece Like Home”(「オーシャニック
    6」、「基地オーキッド」、「帰還」の3話)のスコアでしょう。銃撃戦あり、爆弾解体サスペンスあり、
    貨物船からの脱出劇あり、帰還を果たす感動のドラマあり・・・と、ジアッキノのスコアもドラマを
    盛り上げまくり。ジャックたちが島から生還するシーンのスコア”Landing Party”は、シーズン1の
    “Parting Words”に匹敵する美しさ。やっぱりこのドラマの音楽はすごい。

     

    ・・・というわけで、シーズン4のサントラ盤はランブリング・レコーズさんから8/26発売です。
    ファンなら買いの逸品。フルオケ音楽の深い味わいをご堪能下さい。

     

    『LOST Season 4』オリジナル・サウンドトラック
    音楽:マイケル・ジアッキノ
    品番:GNCE7062
    定価:2,625円

     

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  • サントラ, 海外TVシリーズネタ 2009.08.14 コメントは受け付けていません。

     

    さてさて、13日の午後に東京から戻って参りました。映画のマスコミ試写が2本あったの
    ですが、これから原稿を書くので、詳しくは落ち着いてからまた後ほど。本日は『LOST』の
    シーズン3について少々。

     

    ・・・などと書いてみたものの、実はあまりシーズン3は印象に残っていなかったりします。

    何というか、前半から中盤あたりまでドラマのテンポが悪くて、ドラマを見ながら「早くメインの
    話を進めて下さいよー」と何度思った事か・・・。個人的にはなかなかキツいシーズンでした。
    聞けばシーズン3は中盤から視聴率の低下が顕著で、シリーズ最低の数字を記録した
    そうで、ま、それも無理ないかな、と思ったりするわけです。

    謎を次から次へと提示する割には、解決される要素が少ない。フラッシュバックで見せる
    登場人物たちの過去の繋がりも、何だかこじつけっぽい感じになってきたし(ロックの父親が
    実はあの人と因縁があった、という展開はどうなんだろう)、第63話「エクスポゼ」に至っては
    本筋と全然関係ないエピソードだったし、何だか「ドラマの引き延ばし」感が気になってきたのも
    このシーズンでした。

     

    と、まぁ間延びした印象を受けるシーズン3なのですが、生存者たちと他のものたちが全面対決
    する後半からかなり盛り返してきました。そしてシーズン最終話で披露するあの手法。一瞬、
    何があったのかと思いましたが、少なくとも夢オチとか「実は全員死んでいた」系のオチで片付
    ける事はなさそうなので安心しました。ま、今更それをやったら視聴者は間違いなく激怒する
    でしょうけれども。

     

    さてシーズン3のサントラ盤なのですが、何とCD2枚組です。そのうちDisc-2はシーズン3の
    ラスト3話「グレイテスト・ヒッツ」、「決行」、「終わりの始まり」で使われたスコアが収録されて
    ます。なかなかの大盤振る舞い・・・なのですが、CDを聴いて思ったのは、「収録曲が多ければ
    いいってもんでもないなぁ」という事でした。ドラマの前半はあまり気を入れて見ていなかった
    ので、CDも聴くのはもっぱらDisc-2の方でした。

     

    シーズン3のサントラ盤は国内盤としてのリリースがなかったのですが、これはドラマの
    視聴率の落ち込みと、「CD2枚組」という構成に伴う製作費の問題があったんだろうなと
    思います。もしこのシーズンが高視聴率で、DVDの稼働率も高かったら、国内盤が出ていた
    かも分かりませんけど。

    そしてドラマはシーズン4へと進んでいくわけですが、今度のシーズンはドラマ展開がスピー
    ディーかつメリハリの効いた感じで実に面白いです。いやー、持ち直してよかったよかった。

     

    (まだまだ、つづく)

      

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