• My Works, 映画ネタ 2009.12.04 コメントは受け付けていません。

     

    映画ファンの間では「マイケル・マン・クオリティー」なる言葉があるそうです。どうやら
    「どーでもいいような所にまでムダにこだわる(=お金をかける)」事を意味するらしい。
    言い得て妙、という気も致しますが。

    ま、そういうわけで、ロケ地とか音響効果とか使用曲とかカメラとか、いろんなものに
    こだわるマンですが、キャスティングのこだわりも半端じゃない。今回も「別にこの役者
    じゃなくてもいいのでは・・・?」という小さい役にも有名俳優を使ってます。

     

    まず「チーム・デリンジャー」側はと申しますと、映画冒頭の脱獄劇で早々と姿を消すウォ
    ルター・ディートリッヒ役に『フェイク』(97)、『ナインスゲート』(99)でジョニー・デップと共演
    したジェームズ・ルッソ。画面に登場した途端、パーヴィスにあっさり射殺されるプリティ
    ボーイ・フロイド役には『G.I.ジョー』(09)で主役を張ったチャニング・テイタム。二人とも
    何とも勿体ない使い方。

    メイン級のキャラでは、ホーマー・ヴァン・メーター役(『ヒート』(95)でいうところのトム・
    サイズモア的ポジション)に『ブレイド』(98)のスティーヴン・ドーフ、レッド・ハミルトン役
    (『ヒート』のヴァル・キルマー的ポジション)に『デス・レース』(08)のジェイソン・クラーク、
    ハリー・”ピート”・ピアポント役はデヴィッド・ウェンハム。『ロード・オブ・ザ・リング』シリー
    ズのファラミア役の人ですね。ベイビーフェイス・ネルソン役に『スナッチ』(00)でジェイソ
    ン・ステイサムのヘタレな相棒を演じたスティーヴン・グレアム。特に目立った活躍はしない
    アルヴィン・カーピス役にも『ロスト・イン・トランスレーション』(03)のジョヴァンニ・リビシを
    キャスティング。デリンジャーを快く思わないヤクザの大物フィル・ダンドレア役は『ワイルド・
    スピードMAX』(09)、『マイアミ・バイス』(06)のジョン・オーティス。よくぞここまで集めた
    という顔ぶれ。ハリウッド版「悪役商会」といったところでしょうか。

     

    対する司法(Gメン)側は、J・エドガー・フーバー役に『M:I:3』(06)、『ウォッチメン』(09:
    Dr.マンハッタン役)のビリー・クラダップ。この人、すっかり官僚役が似合う感じの風体に
    なってしまいました。パーヴィスの相棒カーター・ボーム役に『CSI:マイアミ』のロリー・
    コクレイン。最後に見せ場が用意されているチャールズ・ウィンステッド役に『ハード・ウ
    ェイ』(91)のパーティー・クラッシャー役が印象深いスティーヴン・ラング。この人、マンが
    製作したTVシリーズ『クライム・ストーリー』にも出てましたね。ほとんどセリフのないクラ
    レンス・ハート役に『デジャヴ』(06)、『タイムライン』(03)のマット・クレイヴン。ジョン・メダ
    ラ役に『パラサイト』(98)のショーン・ハトシーなどなど。

     

    女優陣では、デリンジャーに車を盗まれるリリアン・ホリー保安官役で『身代金』(96)の
    リリー・テイラーが登場。銀行強盗時に人質にされるアンナ・パツケ役は『LOST』の
    エミリー・デ・レイビン。終盤に何となく登場するポリー・ハミルトン役にはリリー・ソビエ
    スキー。その他『An Education』(09)でオスカーノミネート確実(らしい)とされる
    若手演技派女優キャリー・マリガンをキャロル・スレイマン役で起用。そしてトドメは
    クラブ歌手(いわゆるトーチ・シンガー)役でカメオ出演しているダイアナ・クラール。
    出番はほんの少しなのに、あえてクラール本人を引っ張ってくるところが無駄にスゴイ。

     

    ・・・とまぁ、豪華極まりないキャスティングなのでございます。これだけの実力派俳優が
    いたら2、3本は映画が撮れてしまうんではないかと。考えてみれば、『ヒート』も『イン
    サイダー』(99)も端役に至るまですごい顔ぶれでしたからね。

     

    マイケル・マン・クオリティ恐るべし。

     

    画面に大写しになるのが一瞬だったり、帽子を被っていて顔がよく見えなかったりする
    ので、この映画をご覧になる際には、上記の役者さんたちの出番を是非お見逃しなく。

     

      

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  • My Works, 映画ネタ 2009.11.20 コメントは受け付けていません。

    public enemies_01

     
    公開まで1ヶ月を切ったので、そろそろ宣伝も兼ねてこの映画についてあれこれ書いた方が
    いいんではないだろうか、と思ったので、本日は『パブリック・エネミーズ』(09)のお話。

    この映画、東宝東和さんの試写で見せてもらったのが8月中旬でした。ちょうど前日に『ワイ
    ルド・スピードMAX』(09)の試写で東京に来ていたので、せっかくだからもう一本観て帰ろう!
    と思い立ち、試写日程の連絡をくれたユニバーサルミュージックのMさんに「ぜひ行かせて
    頂きます!」と電話で即答したのでありました。夕方は小学校時代の友達ともミニ同窓会で
    盛り上がったし、この週は充実した東京出張でございました。

     

    閑話休題。

     

    監督がマイケル・マンで、ジョニー・デップがジョン・デリンジャーを、クリスチャン・ベールが
    FBIのメルヴィン・パーヴィスを演じると聞いて、当初は「1930年代を舞台にして『ヒート』
    (95)的な事をまたやりたいんだな」と思ったのですが、いざ本編を見てみるとそうでもない
    事が判明。物語の中心になっているのはデリンジャーとビリー・フレシェット(マリオン・コティ
    ヤール)の破滅的な愛の逃亡劇で、デリンジャー=デップが主役の映画でした。

    まぁ、『ヒート』もデ・ニーロとエイミー・ブレネマンが終盤に逃避行を試みていましたけど・・・。

    そんなわけで、アル・パチーノとロバート・デ・ニーロの”2大競演”がウリの『ヒート』と違って、
    今回のベールは脇役扱い。とはいえ、ベールは主役を食わない程度に存在感を発揮
    (←ここがベールの巧いところ)して、『アメリカン・サイコ』(00)の時のようなニヒルな佇まい
    を見せてくれています。ベールの出演シーンもちゃんと観てあげて下さいね。

     

    そして肝心のジョニー・デップなのですが、クラシックなギャングスター姿もイケてます。
    ジャック・スパロウのようなキャッチーな要素は一切ナシ。でも銀行強盗時のクールな
    振る舞いなどは、『ヒート』のデ・ニーロに勝るとも劣らないカッコよさ。劇中、結構クサい
    演出もあったりするのですが、まぁデップなら絵になるので許すという感じ。マイケル・マンは
    一見硬派そうですが、実はかなりのロマンティストではないかとワタクシは見ております。
    まぁ自分はそういう部分も含めてマン作品が好きなので、随所で「マイケル・マン節」が
    炸裂する本作を楽しんで拝見させて頂きました。

     

    この映画、公開前から「1930年代のドラマをHDカメラで撮るのはいかがなものか?」という
    事が話題になってました。レトロな時代の映画なら、フィルムで撮影してセピアがかった
    映像にすれば味が出るのに…という事なのだと思いますが、マンは近作でHDカメラを使い
    まくっているし、「わざとらしく古臭さを強調する要素は一切排除したかった」と言っているの
    で、そういう画作りには全然興味がなかったみたいです。

    多分、「もし1930年代のあの場にいたらどう見えるか?」・・・という映像を作りたかったので
    しょう。ドキュメンタリー・タッチの映像というヤツでしょうか。こういう試みはあまりなかった
    ので、なかなか新鮮です(好みは分かれるでしょうけれども)。ちなみに撮影監督は『インサ
    イダー』(99)以来久々のタッグになる名手ダンテ・スピノッティ。

     

    で、マイケル・マンの映画と言えば、リアルな銃撃戦とこだわり抜いた音響効果も要チェック
    なわけで、今回もマシンガンを撃ちまくる銃撃戦が用意されております。マニアな方には、
    リトルボヘミア・ロッジ銃撃戦の音響効果とか、フォードのV8フラット・ヘッド・エンジンの
    音なども楽しんで頂けるのではないかと。

    マン監督のもうひとつのこだわり、サウンドトラック(劇中音楽)についてはまた後ほど。

     

      

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