
『アンノウン』(11)の音楽を担当したのはジョン・オットマン。本作のジャウム・コレット=セラ監督とは「パリス・ヒルトンが惨殺されるホラー」として有名な『蝋人形の館』(05)と、極悪少女の正体が強烈な傑作ホラー『エスター』(09)に続く3度目のコラボレーション。
今回はサスペンス映画なので、前2作ほどホラー音楽の要素は強くありません。傾向としては『インベージョン』(07)の音楽に近いかな、と。シンセサイザーなども使っているのですが、あくまで隠し味程度に留めて、ピアノをフィーチャーした流麗なメインテーマはじっくりと、アクション・シーンはオーケストラでダイナミックに聞かせる感じの正統派サスペンス・スコア(ロンドンのエアー・スタジオ録音)。硬質な音のスコアはベルリンの寒々とした風景とも絶妙にマッチしています。なお共同作曲者としてアレクサンダー・ラッドという新進作曲家の名前がクレジットされているのですが、どのくらいスコアの作曲に関わっているかは不明です(詳細なクレジットもないし)。
ピアノを使ったメインテーマ(CD1曲目の”Welcome to Berlin”)を聞くと、何となく『ユージュアル・サスペクツ』(95)の流麗なメインテーマを連想させる部分もあります。オケの編成が大きかろうが小さかろうが、インディー作品だろうがメジャー作品だろうがオットマン”らしさ”はしっかり出ていると思います。主人公マーティン・ハリスのアイデンティティーを巡る物語なので、音楽にも「アイデンティティーの喪失と探求」を暗示させる”仕掛け”がしてあるのが興味深いところ。まぁスコアの”仕掛け”についてここで書いてしまってもアレなので、詳しくは本編をご覧になって確認して頂ければと思います。その後サントラを聴くと「ああ、こういう事か」とお分かり頂けると思いますので。
ちなみにサントラには収録されていませんが、劇中マーティンとジーナが追っ手から逃げる時に入ったクラブでニュー・オーダーの”Blue Monday”のリミックス・バージョンが流れてます。”Oliver Lang & Rob Blazye Remix”と銘打たれていますが、Oliver LangはクラブDJ役で顔を出しているというオマケつき。出番はほんの一瞬だった記憶がありますが。
サントラ盤はランブリング・レコーズさんから5/11に発売になります。なかなかの力作に仕上がっていますので、是非ぜひお買い求め下さい。
『アンノウン』オリジナル・サウンドトラック
音楽:ジョン・オットマン & アレクサンダー・ラッド
品番:GNCE-7090
定価:2,625円









