• My Works, 映画 2010.03.02 コメントは受け付けていません。

     

     
    去る1月12日、『シャーロック・ホームズ』の完成披露試写に友人と行ってきました。

    ブログに書こう、書こうと思っていたのですが、その後サントラ盤ライナーノーツの
    執筆やら『17歳の肖像』の試写やらFOZZYの製作でモーレツに忙しくなって
    しまったので、遅くなってしまいました。どうもスイマセン。

     

    さて実写ホームズというと、以前NHKで放送していた『シャーロック・ホームズの
    冒険』のジェレミー・ブレットのイメージが強いので(吹替えは露口茂氏)、「ロバー
    ト・ダウニー・Jr.がホームズ役でワトソン役がジュード・ロウ、監督がガイ・リッチー」
    と聞いた時には、そりゃ人選がファンキーすぎるんじゃないかと思いましたが、いざ
    本編を観てみると、思いのほか違和感がない。こういうホームズ映画もアリだな、と
    納得して観られました。

    まぁ確かに、かなり大胆に原作の世界観を脚色しているので、「こんなのホームズ
    じゃない!」と思う人もいるかと思いますが、僕は割とすんなり映画の世界観に
    入っていけたクチです。

    それに、数年前にはもっと奇抜な映画がありましたし。あのアラン・クォーターメインと
    トム・ソーヤーとネモ船長と透明人間とジキル博士とドリアン・グレイとミナ・ハーカーが
    戦隊ヒーローの如く集結して、悪の軍団をブチのめすやつ。そう、『リーグ・オブ・レジェ
    ンド 時空を超えた戦い』(03)ですね。アレに比べたら本作の脚色はカワイイもんです。

     

    それにしてもダウニーJr.はいい役者ですな。「頭脳明晰な奇人」というエキセントリック
    なキャラを愛嬌たっぷりに演じているところとか、説得力のある演技が素晴らしい。
    彼は目鼻立ちの整ったかなりの二枚目だと思うのですが(70年代のアル・パチーノ
    風か?)、最近のヤワなイケメン俳優にはない内面的なタフさとか危うさ、人生の
    辛酸を舐めて体得した(?)シニカルさがあって実にカッコイイです。ゴールデン・グ
    ローブ賞受賞はダテじゃない。

    原作でモリアーティ教授を滝底に叩き落とした「バリツ」と思しき我流の格闘術も
    見られるし、”武闘派ホームズ”のシークエンスも見せ方がなかなか面白いです。

     

    ダウニーJr.がホームズを演じるとなると、ワトソン役にもそれ相応に華のある役者
    をアテないとバランスが取れないわけで、そういう意味ではジュード・ロウのキャス
    ティングも正しい。奔放なホームズとは対照的に、なまじ常識人であるがゆえに背
    負ってしまう「翳り」のようなものがうまく出てました。とりあえず、悪漢をヘッドロッ
    クでシメ落とすワトソンは初めて見ました。イカす。

    で、今回の悪役はモリアーティ教授・・・ではなくて、黒魔術を操ると噂される貴族の
    ブラックウッド卿(筆者ご贔屓のマーク・ストロング)。ホームズの小説ってこんなオ
    カルトじみた内容だっけ? と思うかもしれませんが、物語はホームズが科学的根
    拠からブラックウッド卿の黒魔術のトリックを暴いていくという展開なので、悪魔とか
    幽霊とか非現実的なものは出てきません。その点はご安心を。

    ヒロイン役は原作の『ボヘミアの醜聞』に登場したアイリーン・アドラー(レイチェル・
    マクアダムス)なんですが、時系列的にあのエピソードの「その後」という設定になっ
    ている様子。原案・製作のライオネル・ウィグラム曰く「マタ・ハリのような女スパイと
    して彼女を思い描いた」との事なのですが、「峰不二子的キャラ」と言った方が日本
    人には分かり易いでしょう。キャラのポジション的にはあんな感じです。

     

    サントラ盤は今日発売になったはずなのですが、話が長くなってきたので
    今回はこのへんで。

    (つづく)

     

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  • My Works, サントラ, 映画 2010.01.05 コメントは受け付けていません。

    die hard 4.0

     

    遅ればせながら、あけましておめでとうございます。

    正月は日曜洋画劇場で『ダイ・ハード4.0』(07)を観てました。ブルース・ウィリスの
    吹替えは樋浦勉氏ではなく野沢那智氏。

    本編を観ていて改めて思ったのですが、野沢氏のアテレコは歳を取って演技が”濃厚”
    になってきたような・・・。数日前に『エデンの東』(55)を字幕と吹替えの両方で観たせい
    かもしれませんが、何かそんな気がした。いくらマクレーンがガラの悪い男とはいえ、
    もう少し力を抜いた演技でもよろしいんじゃないかと思うのですがいかがでしょう。

     

    それにしてもこのシリーズ、限定空間(=ナカトミビル)で壮絶アクションを繰り広げて
    いた1作目からはずいぶん遠いところに来てしまいました。それでも、今回の4作目の
    ほうが前作『ダイ・ハード3』(95)よりもダイ・ハードらしい映画に仕上がっているような
    印象を受けましたが。

    何というか、3作目はあのナゾナゾが緊張感をそいでしまったので、個人的にイマイチ
    乗り切れなかった。TVで「平成教育委員会」を放送していたのもこの時期だったかな?
    映画を観に来たのにあの番組を見ているような気になって、ビミョーな気分になったのを
    覚えています。マクレーンもテンション低かったし(「二日酔い」という設定だから)。

    その点4作目は荒唐無稽で1作目の面影が薄くなったとはいえ、マクレーンの悪態は
    絶好調だし、ムチャクチャなアクションも見応えあるし、料金1,800円(レンタルなら500円
    前後)払った分はキッチリ楽しませてくれるよなーと思った次第。マクレーンが不死身と
    いうのは『ダイ・ハード2』(90)あたりでもうキャラとして確立されてしまったので、続編を
    見て「ピンチがピンチに見えない」とか「マクレーンが超人になってしまってツマラン」とか
    思わなくなりました。それより「この状況で生き残るんだからスゲーよなー」とか言いな
    がら、マクレーンの修羅場を見るのが楽しくなってきたぐらいです。

     

    音楽は『3時10分、決断のとき』(07)のマルコ・ベルトラミ。『アンダーワールド』シリーズ
    でレン・ワイズマン監督と組んだ縁で、本作に起用されたというわけです。劇中では
    派手なアクションと騒々しい音響効果であんまり音楽が印象に残らなかったかもしれ
    ませんが、改めてサントラで聴いてみるとなかなか興味深い音楽に仕上がってます。
    デジタルビートをバキバキ言わせるタイプの音ではなく、普遍的なオーケストラに打楽
    器をドコドコ鳴らしまくる感じのスコア。

    3作目までシリーズ全ての音楽を手掛けてきたマイケル・ケイメンが亡くなったので、
    作曲もなかなか苦労したらしいのですが、随所でケイメンが作曲した「マクレーンの
    テーマ」の短いフレーズ(♪たーららーらー・・・というアレ)や特徴的なブラスの和音を
    活用して「ダイ・ハードらしい音楽」を心がけたそうです。

     

    余談ですが、マルコさんにインタビューした時、日本盤用にメッセージをひと言頼んだら
    “Yippee Ki Yay!”と書いてよこしました。そのまんまだなー(笑)。この人、よくサントラの
    曲タイトルで言葉遊びをしているので、根っから面白い人なのでしょう。実際、マルコ
    さんは気さくな感じのいい人ですけども。今年は『The Hurt Locker』(08)が賞レースを
    賑わせてますが、マルコさんは作曲賞候補にならないのかな? 個人的には音楽も評価
    されてほしいんですが・・・。

     
    『ダイ・ハード4.0の』サントラ盤はランブリング・レコーズより発売中です。

     

    『ダイ・ハード4.0』オリジナル・サウンドトラック
    音楽:マルコ・ベルトラミ
    品番:GNCE-3083
    定価:2,625円

      

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  • My Works, サントラ, 映画 2009.12.12 コメントは受け付けていません。

    the 4th kind

     

    この『フォース・カインド』(09)という映画、先月上旬に内覧試写を観に行った時には
    貰った資料に12/23(水)公開予定と書いてあったんですが、どうやら18日(金)に
    変更になったようですな。

    プレス資料の裏に「ネタバレになるような表現を使用されての(記事・宣伝の)ご掲載に
    関しましてはご配慮下さい」と書いてあるので、その言いつけを守るとなると、非常に
    紹介が困難な作品なんですよねー。でもまぁ、その辺に気をつけてあれこれ書いて
    みたいと思います。

     

    勘のいい方やTVシリーズの『X-ファイル』を観ていた方なら、『フォース・カインド』という
    映画のタイトルを聞いた時に「あぁ、あのネタを扱ってるのね」とピンと来るのではない
    かと思います(タイトルの「フォース」は”force”じゃなくて”fourth”です。念のため)。

    で、映画本編はその実際に起きたとされる「事件」の記録映像と、俳優による再現ドラマ
    で構成されていると。こういう演出はTVではよく見かけますが、映画じゃちょっと珍しい
    かな、と。映画が始まって早々にミラ・ジョヴォヴィッチが「ナビゲーター」として登場して
    本編の解説を始めたり、記録映像と再現ドラマを分割画面で同時に流してみたり、事件の
    当事者・タイラー博士のインタビュー映像を話の途中で挟み込んでみたり、かなり手の
    込んだ見せ方をしてくれています。

    ジョヴォヴィッチが劇中で演じるのは心理学者のアビゲイル・タイラー博士役。いつもの
    彼女だったら、バケモノが出てこようものなら蹴りの一つも喰らわしてくれそうな気もしま
    すが、今回は見ていて気の毒になるくらい心身共にボロボロになる薄幸の女性を演じ
    ております。『クラッシュ』(96)のイライアス・コティーズは同僚の心理学者役。『追いつめ
    られて』(87)のウィル・パットンは地元の保安官役でした。

     

    ワタクシの中ではこの映画の「しかけ」というか、「ああ、こういう事をやりたかったんだな」
    という意図のようなものが何となく分かった気がするのですが、先ほど上で書いた通り、
    ネタバレ厳禁なのでここでは核心に触れないでおこうと思います。映画を観た後で、皆さん
    なりにテーマを解釈をして頂くのが一番よろしいかと。

    ちなみに、映画の公式サイトで12/11から「TVで放送するには怖すぎてお蔵入りになっ
    た未公開CM」の動画を午前3時33分~4時33分の1時間限定で公開しているとの事。
    気になる方はチェックしてみてはいかがでしょうか。

    公式サイトURL
    http://wwws.warnerbros.co.jp/the4thkind/

     

    監督・脚本はオラトゥンデ・オスンサンミ(←スゴイ名前だ)。この人、画面が暗くて何が
    写ってるんだかさっぱり分からないC級映画『ザ・ケイヴ』(05・未)を撮った監督でした。
    ハッキリ言ってアレは酷い映画だった・・・。なもんで、今回も仕上がり具合が若干不安
    だったのですが、さすがにキャスト・スタッフに一流どころが揃うと出来が違うというか、
    成長の跡が見られます。監督本人も記録映像でタイラー博士にインタビューしてるし、
    やる気満々です。

     

    で、もうひとつ凝りに凝っているのがアトリ・オルヴァルッソンの音楽。『バンテージ・ポ
    イント』(08)、『バビロンA.D.』(08)に続いて今回も国内盤ライナーノーツ用にアトリさんに
    インタビュー出来たのですが、いやー実に興味深い話がいろいろ聞けました。なぜドゥ
    ドゥクやタブラのような民族楽器を使ったのかとか、人知を越えた超常現象をいかに
    音楽で表現するべきかとか、アトリさんの中身の濃い話を聞いていて、今回のオリジナ
    ル・スコアは映画のテーマを徹底的に掘り下げた結果出来上がったものだったんだなーと
    感銘を受けました。

    端から見ればこの映画も「娯楽映画」って事になると思うのですが、アトリさんはこの
    映画のテーマに真剣に向き合っていて、「娯楽映画なんだし、まぁここはこんな感じで
    いいだろ」みたいに妥協して曲作りをするような事がなかったのではないかと。インタ
    ビュー回答を訳していてそう思った次第です。ひと言で言うと、「深い」音楽なんですね。

     

    アトリさんがどういう事を語ったのか興味のある方は、ぜひランブリング・レコーズから
    12/23リリースになる国内盤のサウンドトラック盤をお買い求め下さい。ブックレットに
    貴重なインタビューの詳細が載っておりますので、よろしくです。

     

    『フォース・カインド』オリジナル・サウンドトラック
    音楽:アトリ・オルヴァルッソン
    品番:GNCE-7069
    定価:2,625円

     

     

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  • My Works, 映画 2009.12.04 コメントは受け付けていません。

     

    映画ファンの間では「マイケル・マン・クオリティー」なる言葉があるそうです。どうやら
    「どーでもいいような所にまでムダにこだわる(=お金をかける)」事を意味するらしい。
    言い得て妙、という気も致しますが。

    ま、そういうわけで、ロケ地とか音響効果とか使用曲とかカメラとか、いろんなものに
    こだわるマンですが、キャスティングのこだわりも半端じゃない。今回も「別にこの役者
    じゃなくてもいいのでは・・・?」という小さい役にも有名俳優を使ってます。

     

    まず「チーム・デリンジャー」側はと申しますと、映画冒頭の脱獄劇で早々と姿を消すウォ
    ルター・ディートリッヒ役に『フェイク』(97)、『ナインスゲート』(99)でジョニー・デップと共演
    したジェームズ・ルッソ。画面に登場した途端、パーヴィスにあっさり射殺されるプリティ
    ボーイ・フロイド役には『G.I.ジョー』(09)で主役を張ったチャニング・テイタム。二人とも
    何とも勿体ない使い方。

    メイン級のキャラでは、ホーマー・ヴァン・メーター役(『ヒート』(95)でいうところのトム・
    サイズモア的ポジション)に『ブレイド』(98)のスティーヴン・ドーフ、レッド・ハミルトン役
    (『ヒート』のヴァル・キルマー的ポジション)に『デス・レース』(08)のジェイソン・クラーク、
    ハリー・”ピート”・ピアポント役はデヴィッド・ウェンハム。『ロード・オブ・ザ・リング』シリー
    ズのファラミア役の人ですね。ベイビーフェイス・ネルソン役に『スナッチ』(00)でジェイソ
    ン・ステイサムのヘタレな相棒を演じたスティーヴン・グレアム。特に目立った活躍はしない
    アルヴィン・カーピス役にも『ロスト・イン・トランスレーション』(03)のジョヴァンニ・リビシを
    キャスティング。デリンジャーを快く思わないヤクザの大物フィル・ダンドレア役は『ワイルド・
    スピードMAX』(09)、『マイアミ・バイス』(06)のジョン・オーティス。よくぞここまで集めた
    という顔ぶれ。ハリウッド版「悪役商会」といったところでしょうか。

     

    対する司法(Gメン)側は、J・エドガー・フーバー役に『M:I:3』(06)、『ウォッチメン』(09:
    Dr.マンハッタン役)のビリー・クラダップ。この人、すっかり官僚役が似合う感じの風体に
    なってしまいました。パーヴィスの相棒カーター・ボーム役に『CSI:マイアミ』のロリー・
    コクレイン。最後に見せ場が用意されているチャールズ・ウィンステッド役に『ハード・ウ
    ェイ』(91)のパーティー・クラッシャー役が印象深いスティーヴン・ラング。この人、マンが
    製作したTVシリーズ『クライム・ストーリー』にも出てましたね。ほとんどセリフのないクラ
    レンス・ハート役に『デジャヴ』(06)、『タイムライン』(03)のマット・クレイヴン。ジョン・メダ
    ラ役に『パラサイト』(98)のショーン・ハトシーなどなど。

     

    女優陣では、デリンジャーに車を盗まれるリリアン・ホリー保安官役で『身代金』(96)の
    リリー・テイラーが登場。銀行強盗時に人質にされるアンナ・パツケ役は『LOST』の
    エミリー・デ・レイビン。終盤に何となく登場するポリー・ハミルトン役にはリリー・ソビエ
    スキー。その他『An Education』(09)でオスカーノミネート確実(らしい)とされる
    若手演技派女優キャリー・マリガンをキャロル・スレイマン役で起用。そしてトドメは
    クラブ歌手(いわゆるトーチ・シンガー)役でカメオ出演しているダイアナ・クラール。
    出番はほんの少しなのに、あえてクラール本人を引っ張ってくるところが無駄にスゴイ。

     

    ・・・とまぁ、豪華極まりないキャスティングなのでございます。これだけの実力派俳優が
    いたら2、3本は映画が撮れてしまうんではないかと。考えてみれば、『ヒート』も『イン
    サイダー』(99)も端役に至るまですごい顔ぶれでしたからね。

     

    マイケル・マン・クオリティ恐るべし。

     

    画面に大写しになるのが一瞬だったり、帽子を被っていて顔がよく見えなかったりする
    ので、この映画をご覧になる際には、上記の役者さんたちの出番を是非お見逃しなく。

     

      

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  • My Works, サントラ, 映画 2009.11.26 コメントは受け付けていません。

    publicenemies

     

    マイケル・マン映画に欠かせないものと言ったら、そりゃもう凝りに凝った選曲で聞かせる
    サウンドトラックに他ならないわけで、今回も男臭い世界を彩るクールで激シブな楽曲が
    ズラリと揃いました。

     

    まず映画の予告編で使われるや否や「このカッコイイ曲は何?」とサントラ・ファンの関心を
    集めたギター曲ですが、これはブルース・ミュージシャンのOtis Taylorが歌う”Ten Million
    Slaves”という曲。映画ではもう一曲、テイラーの”Nasty Letter”という曲が使われているの
    ですが、こちらは本作より先に『ザ・シューター/極大射程』(07)のラストで使われてました。
    どっちも激シブでイカす曲なんですが、個人的には後者の方がお気に入り。なぜかというと、
    映画の中でなかなかスタイリッシュな曲の使われ方をしているから。強いて言うなら、
    『コラテラル』(04)でAudioslaveの”Shadow On The Sun”が使われた時の、あのノリに
    近いかもしれません。

     

    そんなテイラーの曲も秀逸なのですが、それ以上に本作のサウンドトラックを語る上で欠か
    せないのが、ダイアナ・クラールが歌う”Bye Bye Blackbird”でしょう。映画では序盤のクラ
    ブのシーンで流れるのですが、この曲はそれ以降もビリーとデリンジャーの関係を象徴する
    曲として重要な意味を持っていきます。映画のラストではこの曲の題名に引っかけたセリフ
    のやり取りがあるのですが、これがまた泣ける。少々クサい演出だけど泣ける。「硬派なフリ
    してロマンティスト」というマイケル・マン節が炸裂する名場面といえるでしょう。

     その他、サントラ盤にはビリー・ホリデイの曲が3曲、ブルース・フォーラーのスウィング・
    ジャズ、Blind Willie Johnsonの陰鬱なブルース、賛美歌などが収録されています。

     

    オリジナル・スコアの作曲は、『ヒート』(95)以来久々のマン作品登板になるエリオット・ゴー
    ルデンサル。『タイタス』(99)とか『エイリアン3』(92)のあの個性的なスコアに比べると、
    今回はかなり抑制の利いたサウンド。テーマ曲の哀愁のメロディーが印象的です。

    マイケル・マンは既存のスコアを使い回す事も結構多いのですが、特に『ヒート』のスコアが
    今でもお気に入りらしく、『コラテラル』と『マイアミ・バイス』(06)でも一部のスコアを使い回し
    ていましたが、今回も”Hanna Shoots Neil”を使ってました。

    エンドクレジットによると、その他にも『悲しみが乾くまで』(07)からヨハン・セーデルクヴィスト
    &グスターボ・サンタオラヤの”After the Shooting”、『シン・レッド・ライン』(98)からジョン・パ
    ウエルの”Beam”(音楽はハンス・ジマー担当でしたが、このスコアに関してはパウエル作曲
    だったらしい)を使っていた模様です。テンプ・トラックで使った曲をそのまま完成版に使ったの
    かな。せっかくゴールデンサルと組んだんだから、曲を書き下ろしてもらえばいいのに・・・。

     

    何はともあれ、サントラ盤はゴールデンサルの重厚なスコア7曲と、ブルース/ジャズを中心
    にセレクトした歌モノ9曲を収録した、渋いコンピレーション・アルバムに仕上がっております。
    マン作品のサントラにハズレなし。ユニバーサルミュージックのサイトで試聴も出来ますので、
    是非お試しあれ。アーティストについてはライナーノーツで簡単に紹介させて頂きましたので、
    そちらの方も併せて目を通して頂ければと思います。ハイ。

     

    『パブリック・エネミーズ』オリジナル・サウンドトラック
    音楽:エリオット・ゴールデンサル他
    品番:UCCL-1150
    定価:2,500円

     

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